自動車のガラスコーティングには主にシリカが用いられ、これが車体の防汚性、耐久性、そして耐酸性を大きく向上させます。
本記事では、シリカを含むガラスコーティングがもたらす利点や、それに関連する技術と特性についてご紹介します。
また、特におすすめのコーティング剤とその適用方法についてもご説明するので、参考にしていただければと思います。
ガラスコーティングの概要とその優れた特性
ガラスコーティングは、ガラス成分を活用した高強度の表面保護技術です。他の表面処理方法と比べ、その耐久性に優れ、長期にわたる保護効果を提供します。
(1) ガラスコーティングの技術詳細
このコーティング技術は、シリカ(二酸化ケイ素)を基としたガラス質の膜(ガラス被膜)を形成します。
シリカは水晶(石英)の主成分であり、そのクリスタルのような美しさと耐久性が特徴です。
紫外線や酸性雨から保護する能力の他、汚れにくさと耐久性も高いです。
これは、環境中の湿度や温度に反応して塗装面に被膜を生成するからです。
通常、このガラス被膜の形成には1,000度以上の高温が必要ですが、車のボディに適用するにはこれが問題でした。
しかし、技術の進化により低温でガラス被膜を形成できる「ゾルゲル法」が開発され、これによりガラスコーティングの普及が進みました。
この方法で施工が容易になり、世界中で広く利用されるようになりました。
なお、ガラスコーティング剤は密閉性が重要であり、化学反応を防ぐために通常、光を遮る茶褐色の瓶に密封されて保管されます。
(2) ガラスコーティングの種類
ガラスコーティングには、「ポリシラザン系」と「シロキサン系」の二つの主要なタイプがあります。これらは無機物を主成分とするコーティングです。
①ポリシラザン系 ポリシラザン系コーティングは、ケイ素、水素、窒素が結合した水晶構造をしており、耐紫外線性、防汚性、耐熱性、撥水性に優れています。
硬度が高く、傷に強いため、車の外観を長く美しく保つことができます。
ただし、施工が難しく高価なため、専門の技術者による施工が一般的です。
②シロキサン系 シロキサン系コーティングは、ケイ素と酸素が結合して作られる化合物です。
ポリシラザン系と同様に多くの保護特性を持ちますが、より施工が容易で一般ユーザーにも使いやすいのが特徴です。
市販されている製品の多くがこのタイプで、カーケア店などでもよく使用されます。ただし、無機汚れに弱い点や、施工が不十分だと被膜が剥がれやすいという欠点もあります。
(3) ガラスコーティングとガラス系コーティングの違い
ガラスコーティングとガラス系コーティングは名前が似ているものですが、成分や効果においてはいくつかの違いがあります。
成分 | 無機物のみ | 有機物を含む |
施工難易度 | 高い | 比較的簡単 |
自浄作用 | 高い | ガラスコーティングに劣る |
効果持続力 | 約3年 | 半年から1年 |
費用 | 高価 | 比較的安価 |
ガラスコーティングは基本的に無機物のみを使用しており、ガラスのような硬度と耐久性を持つことができます。
これにより、塗装面を傷や汚れから強力に保護し、また汚れが付きにくく、雨によって容易に洗い流される特性があります。
一方で、ガラス系コーティングは無機物に加えて有機物も含まれています。
これにより施工はより簡単になりますが、自浄作用や効果の持続力はガラスコーティングに比べると劣ります。
また、ガラスコーティングに比べて価格が安いため、初心者やコストを抑えたいユーザーに選ばれることが多いです。
このように、ガラスコーティングとガラス系コーティングはそれぞれ利点と制限があり、使用する状況や目的に応じて選択する必要があります。
高い保護性と耐久性を求める場合はガラスコーティング、施工の簡便さやコストパフォーマンスを重視する場合はガラス系コーティングが適しているでしょう。
ガラスコーティングの重ね塗りの利点
ガラスコーティングを重ね塗りすることで、その性能を向上させることができます。主な利点は以下の通りです。
- 持続性の向上
- 車体の保護強化
- 光沢感の増加
これらについて詳しく説明します。
(1) 持続性の向上
ガラスコーティングを重ねることで、コーティング層が強化され、その持続性が向上します。
初回のコーティングが固まった後に追加で塗ることで、被膜の厚みが増し、これが耐久性を高めます。
結果としてコーティングの効果が長く維持され、頻繁な再コーティングの必要が減少します。
(2) 車体の保護強化
被膜の厚みが増すことで、その硬度も上がります。
これにより、紫外線や鳥の糞、細かな傷などから車体を効果的に守ることができます。
また、水を弾く力が強まるため、汚れが車体に付きにくくなり、洗車の際にも簡単に汚れを落とすことができます。
(3) 光沢感の増加
コーティング層の増加は塗装面の深みを増し、それによって光沢が向上します。
さらに、塗装面の微細な凹凸が平滑化され、光の反射が均一になるため、車体の見た目が一層クリアで美しくなります。
【選りすぐり】トップ3ガラスコーティング剤
ここでは、特に推薦したいガラスコーティング剤を3つピックアップして紹介します。
(1) ファストガラス BASEセット
このコーティング剤は水シミや雨染みに強い性質を持ち、施工にかかる時間はわずか2時間です。
通常のガラスコーティングが固定に1カ月を要するのに対し、この製品はその時間を大幅に短縮します。
鏡のような光沢と高い防汚性を提供し、車の美しさを維持しやすくします。
(2) LEO COAT 高速ガラスコーティング
LEO COATは、車体に付着する静電気を抑制し、埃や鉄粉、虫や鳥の糞などの汚れから効果的に保護します。
ナノガラス技術により塗装の浸透と硬化を促し、静電気を抑えるポリマーが自浄機能を向上させます。
高速での運転中に虫が付着するのを減らす効果もあり、汚れは水洗いだけで簡単に落とすことができます。
(3) ピカピカレイン PREMIUM ( プレミアム )
親水性と撥水性を組み合わせた滑水効果により、水滴が車体をスムーズに流れ落ちることが特徴です。
この効果により、ウォータースポットの発生が抑制され、ボディに水が滞留しにくくなります。
その透明感と美しさは、まるでベールに包まれたような至高の輝きを車に与え、触れることを誘う魅力的な艶やかさを演出します。
ガラスコーティングの適切な施工手順
ここでは、ガラスコーティングの施工方法を段階ごとに解説します。
(1) 下地処理の重要性
下地処理は、コーティングの結果に大きな影響を与えます。以下が基本手順です。
- 車を徹底的に洗浄する
- 下地処理剤を適用する
それぞれのステップを説明します。
① 車を徹底的に洗浄する
まず、車全体を水で洗い、表面の大きな汚れを除去します。
次に、カーシャンプーとスポンジを使用して、細かい汚れや砂、ホコリを落とします。
この時、洗剤が残らないようにしっかりとすすぎ、最後に水分を拭き取るか、エアーブローで乾燥させます。
② 下地処理剤を適用する
専用の下地処理剤を塗装面に塗布し、車に付着している鉄粉や油分を除去します。
これにより、コーティング剤の密着を促進させます。均一に塗り広げるためには、専用のスポンジやクロスを使用します。
(2) ガラスコーティングの施工
ガラスコーティングの施工手順は次の通りです。
① コーティング剤を塗布する
ガラスコーティング剤を専用のスポンジやクロスに取り、塗装面に均一に塗り込みます。
塗りすぎるとムラが出やすいので、適量を少しずつ塗り、パネルごとに分けて進めます。
② コーティング剤を拭き上げる
塗布後、指定された時間を待ってから、専用のクロスで余分なコーティング剤を丁寧に拭き取ります。
これが不十分だと塗膜にムラやベタつきが残ることがあります。
重ね塗りを行う場合、1回目のコーティング後に数日間空け、再度洗車してから2回目を施工することが推奨されます。
これにより、付着した汚れがコーティングの仕上がりを損ねるのを防ぎます。
(3) コーティング後のメンテナンス
施工後の定期的なメンテナンスは、コーティングの効果を最大限に活かすために不可欠です。
時間が経過すると、被膜の保護効果が自然と低下してしまいます。
メンテナンスでは、紫外線や汚れによるダメージから被膜を保護し、その効果を持続させることが目的です。
具体的なメンテナンス方法については、専門記事で詳しく解説されていますので、参考にすると良いでしょう。
まとめ
ガラスコーティングは自動車の塗装面を保護し、美観を長持ちさせるための重要な処理です。
これらの情報を基に、自動車のガラスコーティングに関してより良い選択ができるようになることでしょう。